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人間だけに与えられた「向上心」は、自分の中の無限の可能性を信じて
『夢』を見るところからはじまるー。

「夢」−向上心−

 もう二年ほど前のことになるが、小学生が「将来の夢」について発表するのを聴いたことがある。
 一人ひとりの発言はとても楽しく、ユーモアに満ちた素晴らしいものだったが、そんな中で驚きと共に今も心に残っている言葉がある。
 それは数人の生徒が自身の夢を語る前に、「出来ないとは思うけど」「無理とは思うけど」と、前置きしたことである。
 もちろん、このことが悪いなどと言うのではなく、ただ、小学生が自身の能力に自己規定(限界)を設けるのは、もっと先のことだと思い込んでいた私は、いささか意表を突かれてしまったのである。
 彼らとて、その夢が現実的である以上、もとから無理を承知と思っているワケではないことは、十分こちらも理解は出来た。それゆえに、無意識のうちに保身をはかる成長の速さに、私は少し驚いたのだ。
 人は大人になると、どうしてか夢を語れなくなってしまう−。
 けれどそれは多分に、実現出来なかった時を考えての大人特有の自己防衛と恥ずかしさのためであり、多少のあきらめをも含みつつ“語らない”ということが、そのまま夢を無くしたことにはならないだろう。
 私がずっと小さな子どもの頃には、男の子は誰もがアニメや特撮のヒーローに憧れていた。きっと女の子たちもまた、魔法使いやお姫様になった自分を夢見ていたに違いない。
 時代はたとえ変わっても、その時々の子どもたちのいちばん最初に抱く夢は皆一様に他愛なく、荒唐無稽な大スペクタクルで、確かにあの頃の私たちには、不可能なことなど何もなかった。きっとその掌には、宇宙までもがしっかりと握りしめられていたのであるー。
 けれど現実は、どんなに父親の万年筆をかざしても、どんなに母親のコンパクトに語りかけても、変わることの出来ない自分を知って、夢は寝てから見るものと、そっと自分に言い聞かせて、今、私たちの大半は偉大なる普通の社会人を生きている。
 けれど、諦めることが「成長」なのだと思い込んで、叶う夢まで捨ててはいないか?
 自分の求めるべき未来をイメージすることは大切で、頭の中に描けもしない夢を実現することなど、一体誰が出来るだろう。
 空を飛んだり、宇宙に行ったり、かつて先人が思い描いた馬鹿げた夢は、今、現実に私たちの前にある。
 人間だけに与えられた「向上心」は、たとえ幾つになっても自分の中の無限の可能性を信じて「夢」を見るところから始まるのである。
 たとえ人から笑われようと、地に足をつけて頑張れば、叶わぬまでも良い処までいけそうだとは思えないだろうか−。
  平成16年5月9日掲載

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このコラムは松本惠昌会長が和歌山新報『しんぽうサロン』に寄稿しているコラムの原稿の原本です。
著作権は松本惠昌会長にありますが、引用は大歓迎です。メールにてご一報ください。

No.2
 生命の重さ、感じますか。
 <不軽の行い>
No.4
 素直な心、忘れていませんか。
 <素直な心>
No.6
 羽ばたいて、みませんか。
 <十五の春に>
No.8
 ステキな毎日、いきていますか。
 <いかされる生命>
No.10
 『しあわせ』の意味、考えたことはありますか。
 <共感の心>
No.12
 生きている実感ありますか。
 <発展途上の人>
No.14
 心の鏡、みがいていますか。
 <手本の重み>
No.16
 世界を見る眼、育ててますか。
 <蜜柑の木>
No.18
 子どもに感謝してますか。
 <親子の絆>
No.20
 『いのち』の大切さ、教えてますか。
 <「いのち」の重さ>
No.22
 感動の涙、流してますか。
 <うれし泣き>
No.24
 悔いのない毎日を送っていますか。
 <今朝の別れ>
No.26
 胸は愛(かな)しくないですか。
 <愛しき一年>
No.28
 死と向かい合ったことがありますかー。
 <永遠の生命>
No.30
 あなたは「いじめ」をどう思いますかー。
 <生命の息吹>
No.32
 苦しいのは、あなただけですかー。
 <前向きに>
No.34
 生命の尊さ、感じてますかー。
 <無常を生きるー>
No.36
 "親心" がわかりますかー。
 <親心(おやごころ)ー>
No.38
 "泣き虫" ですか、"弱虫" ですか。
 <泣き虫と、弱虫ー>
No.40
 病の人に、「佛」をみたことがありますかー。
 < "祈りの言霊(ことだま)" >
No.42
 大切な人に遺したいもの、ありますかー。
 < "妹背(いもせ)ふたゝび・・・。"
No.44
 私たちの務めは何ですかー。
 < "祈りの御山"~「經王堂」の再建着始~
No.46
 未来へ、愛する人へ、引き継ぐものはありますかー。
 < "未来へ、そして愛する人へー"