妹背ふたたびロゴ妹背山護持顕彰会事務局〒640-8137和歌山市吹上1-6-38報恩寺気付「海禪院」TEL&FAX073-422-9480妹背山 海禪院 和歌山市和歌浦中3-4-28
妹背山護持顕彰会とは・・・活動内容リンク心のサロン妹背山徳川期伽藍復興事業和歌の浦みちしるべの会事業ご感想・お問い合わせはこちら

美しい思い出が、次代を担う可愛い子供たちの
人生の一頁に、そっと記される事を願う。

「夏の思い出」

 幼い日の夏の思い出。
 私の祖父母が居た丹波篠山の小さなお寺では、盆踊りがあった。
 物心ついてからの私はお盆の手伝いに行く父に連れられて、毎年お盆を此処で過ごした。なにしろ今から三十五年も前の事、田舎のこととて何一つ娯楽の無いこの山あいの村に、何で喜んで付いて行っていたのか?今となってはそれも思い出せないが、川遊びで水蟷螂に追われたり、突然境内に飛び込んできた猪に仰天したりと、記憶の断片は、今も鮮やかである。
 なかでも一番覚えているのは、雷を伴うこの地方特有の激しい夕立ち。
 何故かしら留守番の私は、俄かにかき曇った空に驚き、庭から本堂に逃げ込んだ。まるでバケツを引っ繰り返したような豪雨、天地を引き裂くような稲光、けたたましい雷鳴の中、泣きながら振り返ると、そこには怖い顔をした仏像が睨んでいた。幼い子供にとって、もうお化けが何処から出てきてもおかしくないような状況下、たった五つの小さな子供は、縁側の柱にしがみ付いたまま、けなげにも祖母の帰りを待ったものだ。
 そんな思いをしながらも、私がお盆をこの寺で過ごす事を望んだのは、「兵庫のお婆ちゃん」 のお家を会場に行われる盆踊りのせいだったのかも知れない。
 送り火の夜、村のあちこちから提灯を手に集う人達。山の麓の高台に建てられたお寺に続く参道を登る、その明かりはとても美しかった。百坪程の境内に村人総てが集まり、庭の真ん中に建てられた「やぐら」にはお囃子用に本堂の太鼓が上げられて、村一番の喉自慢が唸っていたのは、多分デカンショ節だった。
  今思えば、それだけのこと。他には何もない。お寺からお酒が振舞われることを除けば、夜店一軒出る訳でもなく、ただ浴衣を着て踊るだけの、なんともシンプルな催しが、何故こんなにも心に残っているのか?
  きっとそこには、神仏やご先祖様を、敬い弔う為に奉納したという、本来の供養の原点、五穀豊饒を祈り喜ぶという、本来の祭りの原点があったからかも知れない。
お祭り騒ぎの多い昨今、この事は、とても重要である。
 八月二十一日(火)午後六時から開催される、和歌浦妹背山「海禪院」の『海施餓鬼精霊流し会』は、幽玄のともしびの中、ただそれぞれの思い人の供養の為だけに行われる。夜店も出なければお囃子も無い。お酒はもちろん振舞わないけれど、かっての私がそうであったように、父母や祖父母に連れられて、供養のお札を海に流した思い出が、次代を担う可愛い子供達の人生の一頁にそっと記される事を願う。
 多宝塔、観海閣の建つ妹背山は、万葉の昔から多くの人々の思いが籠った最勝の地。このご供養が、妹背山護持顕彰の端緒となって、やがて和歌山の夏の終わりを告げる行事として、静かに定着していってくれれば、こんなにうれしいことはない。
  平成13年8月19日掲載

……………………………………………………………………………………………………………………………………

このコラムは松本惠昌会長が和歌山新報『しんぽうサロン』に寄稿しているコラムの原稿の原本です。
著作権は松本惠昌会長にありますが、引用は大歓迎です。メールにてご一報ください。

No.2
 生命の重さ、感じますか。
 <不軽の行い>
No.4
 素直な心、忘れていませんか。
 <素直な心>
No.6
 羽ばたいて、みませんか。
 <十五の春に>
No.8
 ステキな毎日、いきていますか。
 <いかされる生命>
No.10
 『しあわせ』の意味、考えたことはありますか。
 <共感の心>
No.12
 生きている実感ありますか。
 <発展途上の人>
No.14
 心の鏡、みがいていますか。
 <手本の重み>
No.16
 世界を見る眼、育ててますか。
 <蜜柑の木>
No.18
 子どもに感謝してますか。
 <親子の絆>
No.20
 『いのち』の大切さ、教えてますか。
 <「いのち」の重さ>
No.22
 感動の涙、流してますか。
 <うれし泣き>
No.24
 悔いのない毎日を送っていますか。
 <今朝の別れ>
No.26
 胸は愛(かな)しくないですか。
 <愛しき一年>
No.28
 死と向かい合ったことがありますかー。
 <永遠の生命>
No.30
 あなたは「いじめ」をどう思いますかー。
 <生命の息吹>
No.32
 苦しいのは、あなただけですかー。
 <前向きに>
No.34
 生命の尊さ、感じてますかー。
 <無常を生きるー>
No.36
 "親心" がわかりますかー。
 <親心(おやごころ)ー>
No.38
 "泣き虫" ですか、"弱虫" ですか。
 <泣き虫と、弱虫ー>
No.40
 病の人に、「佛」をみたことがありますかー。
 < "祈りの言霊(ことだま)" >
No.42
 大切な人に遺したいもの、ありますかー。
 < "妹背(いもせ)ふたゝび・・・。"
No.44
 私たちの務めは何ですかー。
 < "祈りの御山"~「經王堂」の再建着始~
No.46
 未来へ、愛する人へ、引き継ぐものはありますかー。
 < "未来へ、そして愛する人へー"